2014年6月9日月曜日

第34回日本登山医学会学術集会 レポート



嫁さんが先日参加した登山医学会のレポートを書いてくれたのでご紹介いたします。




みなさんは登山で体調が悪くなったり怪我をした経験はありますか?


私は、キナバルの山小屋(3200m)で夜中に高山病になり、とても苦しく、とても不安になったことがあります。
それまで寝られないほどの高山病になったことがなく、まさか自分が、と思った初めての経験でした。


そして先日、日本登山医学会に初めて参加してきました。
山の診療所や、大学などの研究機関では、登山者の安全・安心のために、様々な調査・分析、研究活動が行われており、1年に1回学術集会が行われます。
参加者は、医師、看護師、研究者、学生、山岳ガイド、一般登山者など様々で、約100名。
もちろん、私は一般登山者で参加です。

演題は多岐にわたり、診療所の活動報告や調査、高所が人体にもたらす影響や事前予測する試み、登山時のエネルギー摂取の仕方と疲労感との関連性など。
面白いものでは、登山前の階段下りが登山時の筋肉痛を予防できることを証明した研究もありました。
また、東日本大震災以降の東北・関東地方を中心とした登山道の放射線測定を行った結果も報告されました。

アパレル関連では、ノースフェイスから「衣料で登山者の安全を支える」というテーマで、快適なウェアリングを可能にした衣料の技術について発表されました。

アルパインツアーからは、登山ツアーにおける参加者の安全のための取組みが紹介され、山と渓谷社からは、山岳遭難の実態とメディアの役割についての活動の紹介がありました。

また、三浦雄一郎さんが80歳でエベレストに登頂した際のチームドクターで、日本で初めての国際山岳医の免許を取得された大城先生の講演もありました。
(イモト隊のチームドクターもされています。)
前人未到の80歳という高齢での挑戦に対し、遠征までの準備と、遠征戦略を、医学の観点からどのように取り組んだか、実際のデータや写真を織り交ぜながら報告されました。
80歳でエベレスト登頂は、人類の限界ではないかと感じたというコメントが印象的でした。

先生のお話の中には、一般登山者に当てはまる内容もたくさんありました。
一番怖いと感じたのは、山での心筋梗塞について。
先生によると、ハイキングでの心臓の突然死は、平地の4.3倍というデータがあるそうです。
特に男性で多く、登山1日目の午前中に起こりやすいということ。
山の病気と言えば高山病くらいしか考えたことがなかったので、驚きました。
山、つまり低酸素環境では、心筋梗塞が起こりやすい条件がそろっているようです。
血糖が高い人やタバコを吸う方は特に危険度が高く、また、1年で2週間以上の登山をする人に比べて、しない人では倍近くも発症率が高いとのこと。
脱水も大きな要因の1つです。

つまり、生活習慣病が気になっている人で、年に1度、暑い7月の連休かお盆にしか登らない男性は非常に危険ということですよね。。。
心筋梗塞なんて高齢者だけ、と思ったら34歳以上で確率があがるとのことです。
本当に人ごとではありません。


このように、様々な調査や研究活動が行われ、安全のための対策や技術が進歩してきたことによって、私たちはより安全に登山ができるようになったのだと実感し、先生方の活動に感謝です。

一方で、学会中に何度も聞かれた言葉は、
「登山者自身が知識と技術と体力を身につけること」

登山医学会では、ファーストエイド講習を実施しているようです。
内容はかなり本格的で、開始当初は、山岳救助隊や看護師などの方々を対象としていたようですが、現在は、一般登山者も対象にしており、実際に受講されている方々もいらっしゃるそうです。


体力については、衝撃的な数値が・・・
3000m級の登山の運動の強さは、ジョギング(平地)に相当すると考えられるそうで、1日8時間の山行は、8時間のジョギングをするのと同じなのだそうです。
私は8時間も走り続けられません。
つまり、平地でできないことを、山でやってしまっている。
日頃、ほとんどトレーニングや体調管理していない状態で登山していることの危険さを知りました。

大好きな登山を長く続けられるために、日々できることを考えていきたい思った2日間でした。


そして、ふと思ったのが、sokitの店主によく言われること。

「安全のマージンが少しでも多くなるように、快適な装備を用意すること」

トレーニングや体調管理が最も重要ですが、最新の装備を少しずつでも取り入れて、身体への負
担を減らしていきたいと思います。

なお、sokitでもウェアを中心に山での安全をサポートできる機能性の高い装備が揃っています。
登山中の不安点など、ぜひ店主にご相談下さい。

by masumi


※※※

こういう学会があるんですねぇ。
恥ずかしながら先日まで知りませんでしたが、こういう研究・活動をして頂けるのは大変ありがたいですね。
僕が気になったところは赤字にしてみました。
なお、一般的な救命講習であれば、最寄りの消防署でも受講可能です。
まずはこういったものから初めてもいいかもしれません。

最後は宣伝ですね(笑)
若くて体力があればどんな装備でも登れてしまうかもしれません。
でも山では余力を残すことが安全につながります。
少しでも体力の消耗を減らすために、単純に優れた物を使用した方がより良いはずです。
今ご使用の装備で、何かご不満な点などございましたら、いつでも相談にいらして下さい。

どうぞよろしくお願いいたします。

by 店主